共創を紡ぐ出会い、大田区からスタートしましょう

2025年2月、大田区蒲田で「Meet New Solution in OTA 2025」が開催されます。
このイベントは、社会課題を解決する新しいソリューションを生み出す企業が、大田区の町工場やベンチャー・スタートアップをサポートする企業との出会いを通して、新しいイノベーションを創出し、持続可能な未来を実現していくことを目的としています。

大田区の町工場では、個々の工場が高度な技術力と豊富な経験を持っているだけではなく、それぞれの工場がどのような技術や設備を持っているかを熟知しており、必要に応じて互いに協力し合う『仲間まわし』の文化が根付いています。地域全体としての技術力の高さが、ベンチャー企業の独創的なアイデアを形にするための試作品製作や量産化を力強くサポートします。一方、ベンチャー企業は、斬新な発想とスピーディーな事業展開で、町工場に新しいビジネスチャンスをもたらします。

このように、大田区では町工場とベンチャー企業がお互いに協力し、共創していくための理想的な環境が整っているため、「ベンチャーフレンドリーのまち」として知られています。つまり、新しいことに挑戦する企業にとって、とても心強い場所なのです。

共創を成功に導くために大切なことは、自社と共通のビジョンをもち、自社に不足するリソースを補完できるパートナーとの出会いだと感じます。「Meet New Solution in OTA 2025」は、革新的なアイデアと大田区のものづくりの技術力が融合し、新たな価値創造の扉を開く、まさに「出会い」の場となることでしょう。

2025年、新たな挑戦の幕開けです。
私たち三信精機も、同じものづくりに携わる企業として、このような出会いを通して生まれるイノベーションを心から応援しています。皆様にとって飛躍の一年となるよう、本年も全力で取り組んでまいります。

日本の航空宇宙技術遺産がつなぐもの

国立科学博物館が所蔵する純国産民間輸送機「YS-11」と、純国産の固体ロケット開発の礎となった「ペンシルロケット」が、今年4月に日本航空宇宙学会から「航空宇宙技術遺産」に認定されました。

日本はかつて、世界屈指の航空機大国と評されるほどの技術力を誇っていましたが、第二次世界大戦後、航空に関する一切の活動が禁じられ、多くの航空機や関連技術が失われました。
それから7年後の昭和27年、この制限が解除され、純国産の航空機を開発する取り組みが国を挙げて始まりました。その成果の一つが、民間輸送機「YS-11」です。

「YS-11」は量産型として初めて製造された機体であり、「ペンシルロケット」は日本のロケット技術の出発点といえる重要な実験機です。この2つの機体は、日本が航空機やロケットの技術を発展させてきた歴史を象徴しています。
今回の「航空宇宙技術遺産」への認定は、これらの技術開発に尽力した先人たちの努力や工夫を広く伝えるきっかけとなり、次世代を担う技術者や研究者たちにとっても、貴重な学びの機会となることでしょう。

こうした技術の積み重ねがあるからこそ、私たちが普段利用する旅客機の航空技術や、ロケットを活用した宇宙開発が飛躍的に進化しているのだと感じます。
今後も日本の技術が世界で輝き続けるために、先人たちの知恵を受け継ぎながら、先端技術への挑戦を続けていくことが大切です。

新教科『おおたの未来づくり』が育む、ものづくりのチカラ

大田区では、2025年度から全ての区立小学校で新しい教科「おおたの未来づくり」が導入されます。この教科は「ものづくり」と「地域創生」という二つの大きなテーマに基づいて授業が展開され、地域社会との連携を通じた実践的な活動が重視されます。

すでに一部の小学校では導入が始まっており、志茂田小学校では、児童が給食の人気メニュー「たこぺったん」を全国に広めるため、イトーヨーカドー大森店と連携して商品開発や広報活動を行いました。子どもたちは、地域の多様な人々と現場で活動しながら、実践的な知識やスキルを身につけるとともに、地域社会への理解を深めていくことが期待されています。

「おおたの未来づくり」の特徴は、児童が自ら課題を設定する「総合的な学習の時間」と異なり、企業や地域からの依頼や相談を基に課題が設定される点です。子どもたちは、自分の興味関心よりも「相手の立場」を重視し、社会的な課題に取り組むことになります。そして、完成した成果物を外部の方々に見てもらい、評価をしてもらうことをゴールとしています。

大田区は「ものづくりの町」としての歴史を持っており、その強みを活かした教科の導入は、地域の特色を反映した素晴らしい取り組みです。この町で実践的な学びを通じて、新たな時代の担い手が育っていくのは嬉しい限りですね。

夢を形にする未来の科学技術

空を自由に飛べる「タケコプター」や、どこへでも行ける「どこでもドア」など、
誰もが一度は「ドラえもんのひみつ道具」を使ってみたいと夢見たことがあるのではないでしょうか。現代の科学技術は、かつては空想の産物と思われていたドラえもんのひみつ道具を、現実のものに近づけつつあります。

たとえば、食べるだけでどんな言葉でも通じるようになる「ほんやくコンニャク」は、
ポケットサイズの翻訳機やスマートフォンアプリ、さらにテレビ電話を活用した通訳サービスなど、言葉の壁を取り除く技術によって、すでに実現できていると言えるでしょう。

また、写真の料理をひと口だけ味見できる「味見スプーン」は、NTTドコモが現在開発中の
「FEEL TECH(フィールテック)」によって、その実現に近づいています。
フィールテックは、味覚、嗅覚、触覚といった五感を共有できる技術で、この技術が確立すれば、映画やドラマに登場する料理の味を、家や映画館で体験できる日が来るかもしれません。
新しいエンターテインメントの楽しみ方や、より豊かなコミュニケーションの形が生まれる可能性に胸が高鳴ります。

多くの科学的な発明や技術は、かつて誰かが空想した未来像や夢から始まっています。
ドラえもんのひみつ道具は、未来の科学技術が私たちにもたらす無限の可能性、そして私たちが、その技術とどう向き合っていくべきかを考えるきっかけを与えてくれる存在です。

パラスポーツの進化を支えるテクノロジー

2024年夏のパリ・オリンピックでは、日本代表選手が素晴らしい活躍を見せてくれました。現在、パラリンピックが開催中です。さまざまな障がいを持つパラアスリートたちが、創意工夫を凝らしながら限界に挑む姿は、多くの人々に感動と勇気を与えるとともに、共生社会の実現に向けた意識改革を促しています。

近年、スポーツ義肢や装具、用具は、競技や選手の特性に合わせたテクノロジーの導入により、目覚ましい進化を遂げています。この技術革新により、これらの用具は単なる補助具の役割を超え、パフォーマンスの可能性を広げるための強力なツールとして機能しています。

たとえば、3Dスキャナーやモーションキャプチャーなどの機器を使って、選手が感じる微細な感覚を「見える化」することが可能になりました。これにより、選手の体と一体化した精度の高い用具を、従来よりも迅速に開発できるようになっています。
さらに、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といったデジタル技術も、パラスポーツの訓練やリハビリにおいて重要な役割を果たしています。これらの技術は、実際の競技場を再現したり、特定の動作を繰り返し練習したりする際に非常に有用です。

今後も、パラアスリートの記録向上にテクノロジーの進歩が大きく貢献していくことは間違いないでしょう。パラアスリートが魅せるパフォーマンスの進化に日本のものづくりの力が大いに寄与することが期待されます。

広がるロボットの技術進歩と可能性

ロボットの開発・導入を促進する専門技術展「関西ロボットワールド2024」が5月30日・31日にインテックス大阪で開催されました。

今回の展示会では、ロボットメーカーだけでなく、AIやシステム関係の出展が多く見られました。特に、ロボットに動作を教え込むティーチングや専門技能の省力化に焦点を当てた展示が多く、専門知識がなくてもロボットを活用できる環境作りが進められていることを感じます。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の展示では、災害現場や宇宙空間などのデータが収集しづらい環境下で、コンピュータグラフィックス合成画像を用いたAIによる障害物検知など、宇宙空間におけるロボット技術の応用が示されてました。

関西ロボットワールド2024は、AIやシステム技術と融合した次世代ロボットの可能性を広く示しました。これらの技術は、人手不足という社会課題の解決だけでなく、新たな産業の創出や、私たちの生活の質の向上に貢献することが期待されます。

私たち三信精機も、現場の工程改善から未来社会におけるロボットの可能性を広く探っていき、人とロボットの共生を目指していく所存です。

海の豊かさをつなぐ「水中ロボット」

7月に入り、海や川などへレジャーに行く楽しい季節となってきました。日本の海は豊かな海洋環境に恵まれ、多種多様な水産物が獲れることで知られています。これらの水産物は、多くの日本人の食卓を彩り、優れた栄養特性を持っています。

しかし、日本の水産資源は年々減少の一途をたどっており、その持続可能な利用が課題となっています。SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」にもあるように、乱獲や環境汚染の影響で日本だけでなく世界的に水産資源の枯渇が深刻化しています。

この課題を解決するために期待されているのが水中ロボットです。水中ロボットとは、人が到達できない海中や海底で、海洋資源の調査やモニタリング、漁業のサポートなど、多岐にわたる役割を果たしています。

養殖場では、水中ロボットが餌やり、成長した魚の特定水域への誘導、密猟者の監視、ごみや死魚の回収など、さまざまな作業を行います。また、近年は省エネルギー浮力制御システムや新しいエネルギー源から電力を供給する技術が開発されています。これらの進展は、効率的な資源管理と持続可能な漁業に大きく貢献しています。

今後も技術革新と共に、その性能と活用範囲は広がり、海と私たちの食卓を守る強力なパートナーとなることでしょう。水中ロボットの進展に注目です。

AI/XR技術が拓く、共生社会の未来

XR(クロスリアリティ)とは、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの「仮想世界」技術の総称です。ゲーム産業の技術としてよく知られているXRですが、近年は障害者の支援ツール開発に活用されるようになりました。

XR技術を施した「スマートグラス」は、視覚障害のある方に映像処理を行い、障害物などの危険を認識できるようサポートします。
また、聴覚障害のある方には、AIテクノロジーと融合したツールで周囲の情報を字幕で見せるなど、頼もしいガイド役として活躍します。

障害の有無に関わらず互いを尊重し、支え合いながら共生する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念に基づき、障害者の自立と社会参加の促進が求められています。
その課題解決に向け期待されているのが、近年、目まぐるしい進化をし続けているAI、XRといった最先端テクノロジーの力です。

私たち三信精機も様々な技術動向に注目しながら、テクノロジーを活用した先端技術で、未来を創造していく挑戦を続けていく所存です。

「スマート農業」がもたらす日本農業の新時代

「スマート農業」という言葉を聞いたことがありますか?これは、AIやIoTなどの最新技術を駆使して農業を革新する新たな取り組みです。私たちの日常生活でもスマートフォンやスマート家電が身近になりましたが、農業においてもスマート化が進んでいます。

現在、日本の農業は労働力不足という課題に直面しており、農業従事者の数は今後20年間でおよそ4分の1にまで減少すると見込まれています。
農林水産省は、労働力を確保し、食料の供給体制を維持するため、ドローンやAIなどを用いたスマート農業の普及を加速しようとしています。

スマート農業の活用事例としては、ロボットトラクターでの耕起作業の自動化、リンゴやナシの自動収穫ロボット、AI画像解析での生育診断、病害予測できるモニタリングサービスなどがあります。

今後は、スマート農業が日本の農業を強く、持続可能なものへと革新させる鍵となるでしょう。精密機器の開発を担う三信精機も、新しい時代に応える先進的なものづくりで、課題の解決に取り組んでまいります。

理系高校生たちの情熱が、未来のモノづくりを担う

JSEC(ジェイセック)は、全国の高校生・高専生を対象に、2003年から始まった科学技術の自由研究コンテストです。
昨年12月、JSEC 2023が東京の日本科学未来館で開催され、全国174校の634人から、過去最多の343件の研究が応募されました。

上位入賞した研究作品は、2024年5月に米国・ロサンゼルスで開催される世界大会「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に日本代表として挑みます。ISEFは、世界各国からファイナリストが集まり、研究成果を競い合う、まさに科学技術を志す理系高校生のオリンピックともいえる大会です。

研究作品は、「アミノ酸変異の解析から病気を予測」「エネルギーいらずの新しい冷却剤の開発」など、高校生たちの計り知れない好奇心と情熱によって成し遂げられた日本トップレベルの成果ばかりです。

学校での勉強は一般的に、与えられた内容を吸収することが中心であり、試験では、あらかじめ決まっている答えに至る力が試されます。
しかし、このような自由研究では、未知の世界に自ら飛び込み、さまざまな困難を経験し、地道に挑戦し続けなくてはなりません。

科学技術の進歩もまた、誰もやらない未知の領域へ挑戦し、情熱を持って地道に努力を続けることで、想像以上に未来の可能性を広げてくれると確信しております。