温故知新と機械遺産

群馬県富岡市の「富岡製糸場」がユネスコの世界文化遺産に登録され、連日にぎわっているそうです。明治5年に操業を始め、外国の機械や指導者も入れて最新の技術を融合した模範工場でしたが、昭和62年操業を停止し以来、機械や建物が取り壊すこともなく管理してきた結果の世界文化遺産です。当社の古川工場である飛騨市には、製糸場で働いた女性の姿をまとめた「あゝ野麦峠」(山本茂実1968年刊)に、働きに出る女性たちが最後に泊る宿が描かれていますが今も昔の姿で営業しています。

日本機械学会が2007年から始めた「機械遺産」が毎年認定され、すでに69件が登録されています。南極で活躍した雪上車や現存最古の動力旋盤、黎明期の家庭用電化機器や農業機械、豊島園の回転木馬「カルーセル エルドラド」など日本の得意分野が見えてきます。日本の近代化の発展の証しとしての機械遺産は、蒲田の匠たちの歴史のようにも思えます。技術の日進月歩が「遺産」となることに感無量です。