ものづくりの未来を創る「非認知能力」

2025年夏、東京農業大学世田谷キャンパスで「第87回ダヴィンチマスターズ」が開催されました。
これは、未来を考える子どもたちの非認知能力(自己肯定感、思考力、行動力、協働力、社会意識)を高める体験型イベントです。「生き物」「アート」「化学」「環境」など、遊びと学びが融合したこのイベントは、幅広い年齢の子どもたちの知的好奇心と創造力を育む絶好の機会となりました。

本イベントの大きな特徴は、子どもたちが課題解決能力を伸ばせる、理数系やものづくりにも関係する多彩なプログラムが用意されている点です。たとえば、「生き物の形や色のふしぎを探そう」では、自然科学の知識に触れ、観察力を養うプログラム、「化学の力で絵を描こう!」では、身近な液体で色を変化させるなど、科学と創造力を融合したプログラムです。

さらに、「ゴムの力を遊びながら調べよう」では、素材工学や応用物理の基礎に触れ、おもちゃを作りながら再生性や強度を学びます。これは、製造現場で必要な「素材を知る」「ものを組み立てる」力が養われることが期待できます。

ダヴィンチマスターズの根底にあるのは、「楽しい」という気持ちで課題を解決し、「できる!」という成功体験を積み重ねることで、子どもたちの内なる力を引き出すという考え方です。この「できる!」という自己肯定感こそが、未来のイノベーターを育む上で最も重要な要素だと考えます。こうした取り組みは、地域社会と連携し、未来のものづくり人材を育成する企業にとって、非常に参考になるでしょう。

ものづくりには、困難な壁に直面することもありますが、「自分にはできる」という強い信念と、失敗を恐れずに挑戦し続ける行動力があれば、どんな課題も乗り越えられます。人が本来持つ創造力と可能性を信じ、その能力を最大限に引き出すことが持続可能な社会を築く第一歩となるのではないでしょうか。

ものづくりの未来は、AIやロボティクスなどの先端技術の進歩だけでなく、それを活用して新たな価値を創造し、社会課題を解決していく「人」の力にかかっているのだと確信しています。