大阪万博とともに

約50年前、1970年(昭和45年)に史上最大の規模で開催された大阪万博は、「人類の進歩と調和」をテーマに最先端の技術を集め、海外参加76ヵ国、国内32団体の参加で開催さえました。
183日で入場者6421万人、1日平均35万人の入場者に心躍る未来技術を見せてくれました。
今では当たり前になった駅の自動改札機や動く歩道「トラベーター」やガラス張りの噴流式洗濯機の技術を使った人間洗濯機が話題でしたが、超音波で汚れを落とす洗浄器や介護用の入浴槽へと発展しています。
2025年に大阪で2度目の世界万博が決まり、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、多様で心身ともに健康な生き方、持続可能な社会、経済システムを目指して開催されます。
昭和45年、大阪万博の年に誕生したわが社も科学技術の進歩とともに次の半世紀を迎えます。IotやAIの進化を見極めながら健康経済社会の発展に寄与してまいります。

たよりない“弱いロボット”づくり

AI(人工知能)が広がりIot(モノのインターネット)化が急速に進んでいます。
そんな世の中で、あえて“たよりないロボット”をつくる技術者が話題になっています。
豊橋技術科学大学の岡田教授で、人と機械が交感できる“弱いロボット”を世に出してい
ます。
その理由は、あえて弱点や限界をさらすことで接する人の助力を引き出すことができるか
ら“人の情動に訴えかける弱さが新しい力を生み出せる”と説いておられます。
昔話ロボットは、たどたどしい話しぶりに子供たちが助け舟を出すそうです。たよりない
ロボットはかえって人間を勇気づけ、心のなかから人間の力や能力を引き出し、エデュケ
ーション「内から引き出す」という教育本来の働きをしてくれるように思えます。
産業用ロボットでは、そうもいかないでしょうが接する人の力を引き出すロボットには、
効率優先が求められる技術にない斬新な発想と多様性を示唆しているように思われます。

「昔の名前」で“進化”しています。

エポック社の「野球盤」の初代は、1958年に木製で発売され遊んだ方も多いかと思いますが、発売60周年を記念した70代目の新作「3Dエース モンスターコントロール」が進化して発売されました。磁石を使った変化球、消える魔球や放物線を描いてスタンドに飛び込む本塁打を打てると進化し70代目は、内角高めを狙えたり、球速やコースを表示する電光掲示板付きと進化して登場です。
もう一つは、ソニーのロボット犬「aibo」で2006年には一旦生産を終了しましたが今年の1月に復活し「机の下開発魂」として注目されましたが、人工知能(AI)を搭載して発売され日本では2万台越を販売済ですが、世界でも販売されます。
“飼い主の表情や発言、触り方などを自ら分析して感情をあらわす機能つき”で、体も丸みを帯び瞳が動く新型に衣替えしての登場です。見本市では「キュート」と好感触だそうです。“昔の名前”も時代の波でしょうか。

素敵な「おもちゃドクター」との出会い

「おもちゃドクター」三浦康夫さん(71)の話に出会いました。
三浦さんは子どもの頃、おもちゃで遊ぶより「どういう仕組みで動いているのか」に興味を惹かれ、おもちゃを分解して遊んだ方で大学も工学部に進み、仕事も自動車メーカーの技術者として40年以上、エンジンの設計に携わり、その後「おもちゃドクター」として「おもちゃ病院」を開設されたそうです。
「治せなかった患者さんはほとんどいません」と、自作の工具を駆使して月の半分以上はおもちゃドクターとして過ごされています。
治療の終わったおもちゃを手渡した時の子供の笑顔を見るのが楽しいと語っておられますが、私たちの手作りした製品をお客様に手渡しするときは、三浦さんと同じような嬉しさを感じます。
「好きなことで喜ばれる、こんな幸せはないですね」と語る三浦さんに、ともにエンジニア魂を見た気がします。

科学立国は「リケジョ」から

“リケジョ” 理工系女子と呼ばれて話題になりましたが、どうやら科学技術立国ニッポンの復活の鍵は女子中高生にあるようです。
現在のIT技術者に占める女性の割合は13%程で、内閣府も女性の研究者の割合が米国の半分以下だとして力を入れています。
特に女性が少ない分野は科学、技術、工学、数学で英語の頭文字から「STEM(ステム)」と呼ばれ、日本は他国と比べてステムの分野に進む人の男女比に不均衡があると指摘されています。そこで、女子学生が理工系の職場見学や仕事体験をする「理工チャレンジ」の実施や、筑波大学の2泊3日の「リケジョサイエンス合宿」が開催され、中高生約100人が参加したり、東京理科大でも「科学のマドンナ」と題して理系出身者を招いての講演会などを開いています。リケジョのノーベル受賞者も夢ではなさそうです。

「“一人家電メーカー”中沢優子さんの挑戦」

たった一人で個性的な家電製品を少量生産するベンチャー起業「UPQ」(アップキュー)を知っていますか。女性ユーザーの支持を集めて、コンパクトにたためる原付免許で乗れる電動バイクやアイロン、電気釜とヒット商品で評判です。大学は経済学部で機械オンチですがそれを逆手にとって「機械オンチがメーカーに入れば、ユーザーの気持ちが代弁できる」と、07年カシオ計算機に入社。携帯が好きで念願の携帯製品の企画を担当し「美撮り」機能付き製品がヒットする。が、メーカーの市場撤退を機に12年、会社を退職し15年7月UPQを起業します。その1か月前に、香港の家電見本市で目をつけた中国のスマホ工場に単身乗り込み試作を交渉し、スマホのタッチパネルを応用した透明なキーボードを開発し注目されます。常にお客さま目線の発想とたくさん売ることを考えず、新しい常識に挑戦する34歳の主婦社長・中沢優子さんに日本の製造業の新しい未来を感じます。

新しい観光名所「工場見学」

ままごとの進化形「キッザニア」のあこがれの職業体験が人気ですが、身近な町工場の見学や体験教室も人気です。大田区でも「おおたオープンファクトリー」で工場見学や体験教室が公開されています。伝統の職人技や宇宙科学を支える技術を間近で見たり経験することで次世代の担い手が育ってくれることを願っています。最近では家族で体感するケースが増え埼玉県八潮市の文具製造「イワコー」さんの“おもしろ消しゴム”工場見学が年間400回、1万人以上の見学者が訪れる地域の観光名所になっています。高温で溶かされて軟らかくなった消しゴムの材料を触らせてもらった子どもたちから歓声が上がるそうです。

創業者の岩沢さんは「子供は国の宝。断るなんて」という言葉に感動します。当社も創業者渡辺の故郷から高校生たちが職業学習を兼ねて工場見学に訪ねてくれますが、蒲田の技術を次の世代につないでくれれば嬉しい限りです。

『愛されるロボット犬「AIBO」に学ぶ』

ソニー生まれのロボット犬「AIBO」が誕生したのは1999年、この世界初のエンターテイ

メントロボットは発売20分で3千体を完売し、累計約15万体が売れたが事業としては成功せず、2006年に生産を終了、14年には修理サポートも終了し、15年に国立科学博物館が未来技術遺産として登録しています。

作家の山内マリコさんの短編「AIBO大好きだよ」では“機械と人が心を通じ合うことに少しも違和感がなく、人間と同じくらい上等なハートがある”と書いています。

愛されるAIBOは、17年たった今もオーディオ機器などを修理する技術者の舟橋浩さんのもとに修理の依頼が急増しており、お客様は修理ではなく“治療”といい、“入院”待ちも400体で故障したAIBOを捨てられず、解体した部品を“献体”として申し出があるそうです。

機械を作る私たちも、一つひとつの製品に限りなく“愛”を感じていますが、何を心や命と呼ぶかは私たちが決めるのですね。

命の時間

104歳の医師、日野原重明先生は「命は誰でも持っている。命とは時間を使うこと。子どもの時は、自分のためだけに使うことが出来る。大人になると、その時間を“人のために”使う。それが命(時間)の使い方」と語っています。
かつて企業30年説が唱えられ、企業変革が求められたように企業はいま“人のためにどのようにお役に立てるか”-ソーシャルシフトという新しい命題が求められています。
日野原先生の言葉のように“企業の命”も人のために、どのように時間を使うかを大切にする時代だと思っています。単に求められたモノや売れるモノを作るだけではなく、いかに喜ばれ感謝されお役に立てるコトに貢献できるかが本当の商品価値だと考えています。
私たちの会社は、精密機械の開発、製作を通して社会にお役に立つ“モノとコト”づくりに大切な“命の時間”を使ってまいります。

「かかりつけ医」とロボットの交流

英国の「かかりつけ総合診療医」は、患者の心身の不調だけでなく様々な悩みに対応します。例えば身寄りのない高齢の患者が唯一の楽しみである“テレビが壊れた”と訴えて来たときテレビの故障は本人にとって一大事ですから医師はすぐに往診し、診療と合せテレビの修理業者を手配し患者の悩みを解消します。

1999年世界初の癒しのイヌ型ロボット「アイボ」を発売したソニーは、2006年に家庭用ロボットから撤退しましたが新たにハードとサービスを組み合わせたロボットに進出します。

高齢者の話し相手や癒し、赤ちゃんをあやすロボットが活躍していますが、仲間と楽しくおしゃべりするだけで薬を飲まなくても痛みが消える例もあり、英国ではこうした効果を「社会的処方」と称して活用しています。

治療をしながら高齢者の健康自立を支えるソーシャル技術に挑戦してまいります。