これからの企業資産は“社会貢献力”

地球温暖化や環境汚染への課題に本気で取り組む必要が求められ、日本でも2050年までに温暖化防止に向けて二酸化炭素排出実質ゼロを表明しました。
自然エネルギーを活用した太陽光や風力、波力や潮力、中小水力や地熱を資源とした発電や身近な木材や植物、食品残渣、各種の廃棄物を活用したバイオマス発電による「エネルギーの地産地消」が進められています。
地域で出る一般廃棄物を利用したゴミ発電や製造段階で出る大量の食品加工残渣を活用した発電が進められています。和歌山県では梅干しの加工廃液でバイオガスを発生させて発電しています。産業廃棄物を出さない企業の社会的責任(CSR)が求められる時代の対応です。国や地域、企業や個人が環境問題に関心をもち一人ひとりが“できること”を実施することが求められる時代です。
当社も新しいこれからの50年に向けて汚染防止、環境保全に努めてまいります。

「必要は発明の母」を!

機械製造業は油仕事が多く、職場には石鹸、洗剤が欠かせません。特に肌の汚れを落す洗剤には気をつかいます。中小企業の多い大田・羽田地区の活性化を図るために2007年“大田ブランド”の拡大を考え“必要は発明の母”ではありませんが、「ハネダクオリオ」と命名した“石鹸”を発売し、大田ブランドの宣伝に貢献しました。
石鹸の発明は古く、紀元前3000年古代ローマ時代のサポー(sapo)という丘の神殿で羊を焼いて神に供えていたとき木の灰に羊の脂が混ざり汚れを落す石鹸が出来、その丘の名前を付けてソープと呼んだそうです。メソポタミア図書館の粘土板にはくさび形文字で石鹸の製法が記してあるそうです。また、ヨハン・ベックマンの「西洋事物起原」にも山羊の脂肪とブナの木の灰から作った石鹸が最良で、ドイツ語のsepeから命名ともあります。日本では1890年(明治23年)、花王石鹸が発売したとあります。「必要は発明の母」ですね。

UFO研究が始まる時代

1938年10月30日アメリカ、ニュージャージー州で「火星人が襲来した!」という臨時ニュースが流れ市民がパニックになった事件がありました。イギリスの作家H.G.ウェルズの「宇宙戦争」のドラマの演出でしたが、ラジオの臨時ニュースがリアルで地球襲来と大騒ぎとなりドラマの結末は円盤から出て来た火星人が地球のウイルスに感染して死ぬという現在のコロナパンデミックの逆騒動でした。
現代の科学でもウイルスを克服するのには時間がかかりますが、作家ウェルズが予測していたのですね。2010年アメリカの探査機キュリオシティが火星に着陸し火星人騒動は物語で終わりましたが、現代の科学は新たに“未確認飛行物体”UFOの研究に本格的に取り組みはじめたと報じています。科学は未来なるものへの挑戦です。
“アフターコロナ”の時代がどのように変革するのか、世界の知恵は常に日進月歩で進化しますね。

なんの役にも立たない研究

当社の古川工場のある岐阜県飛騨市の東京大学宇宙線研究所は「ニュートリノ」の発見、研究で世界のトップを走っています。
素粒子のニュートリノ研究で2002年に小柴昌俊博士、2015年には梶田隆章博士がノーベル物理学賞の対象となった宇宙の果ての情報を届けてくれる素粒子ニュートリノを観測しています。
「何の役にも立たない研究」と今はいわれますが、100年後には様々の宇宙の謎が明かされる研究なのです。この宇宙から来る素粒子が人間の体を突き抜ける時には全く何の影響も与えませんし、太陽の核ではたくさんのニュートリノが生まれ出ている謎も解明されていません。しかし“役に立たない”といわれても“人類の知の地平線を拡げる”ことだけは確かです。こうした科学の研究こそ「日進月歩」の時間なのです。
創業50年も当社にとっての一里塚です。

「アフターコロナ」の新時代に向けて

“戦う天使”と呼ばれた看護婦(師)ナイチンゲール生誕200年の今年、コロナ戦争で世界の医療従事者に感謝の輪が広がっています。
ナイチンゲールはクリミア戦争に看護師団のリーダーとして活躍しましたが、兵士の多くが戦闘ではなく感染症で命を落としたことを統計で示したり、今のナースコールを発案したりしていますが、不思議な縁を感じます。コロナ感染は終息とはいきませんが、今世界は“アフターコロナ”の新しい秩序に向けて動き始めています。医療技術や先端医科学、デジタルシフト社会の在り方、経済やビジネスの仕組み、新しいソーシャルシフトの変化に合わせた体制づくりが求められています。当社も創業50年の技術を活かし次の新しい時代の発展に向かって挑戦してまいります。医療、介護支援分野を含め社会の変化へ対応した“コト価値づくり”の技術革新を目指してまいります。羽田、蒲田という地域文化を大切にした歩みを進めます。

危機を乗り越える“日進月歩”の精神で

当社はこの5月で創業50周年を迎えますが、この区切りの年にリーマンショック以上の世界的なパンデミックに遭遇したことに緊張を感じます。感染症という新たな危機を乗り越えた後の世界経済は大きな変化と新しい常識が必要となることは間違いありません。
当社のビルに創業者が試作した小さな音の静かな風力発電機が飾られています。次世代の再生可能エネルギーの主力電源となる風力発電ですが、いま洋上風力発電として動き出しています。一つは秋田県沿岸で国内最大の計画で、もう一つは富山県の小さな入善町の湾内で日本海から吹き寄せる風を活用した日本初の民間出資の洋上風力発電計画です。沖合800m、推進15mに風車を4基、出力7.500キロワットですが、地域の海洋資源、観光資源として住民の期待が広がっているそうです。
私たちも地域のまちと一緒になって再生可能エネルギーに挑戦するような大きな夢に向かって次の50年に歩みを進めてまいります。

シマウマのローテク縞模様に学ぶ

“シマウマの縞は何のためにあるのか”そんな論争が長年続いていましたが、英国ブリストル大学の研究チームが結論を発表しました。「シマウマの縞模様は、虫に刺されなくする目くらましの役割をしているのではないか」という結論です。日本では古くから草木染の衣服には蚊や虫に刺されないと言われていますが、シマウマは進化の過程で生み出したワザなのでしょうか。
研究室の実験は、普通の馬たちに黒、白、縞模様の3種類のコートを着せアブの動きを観察した結果、縞模様の馬にはアブの止まる回数が圧倒的に少なかったのだそうです。
シマウマや牛、馬たちに病気を運ぶ虫たちの“目くらまし”の模様だとは、なんともローテクなワザに思えるのですが、科学技術の発展にもこうしたローテクな技術も大切なのではと思うニュースでした。“弱いロボット”の開発も(30年1月号)、シマウマの縞模様に学ぶ視点ではないでしょうか。

更なる進歩に向けて

2020年、東京オリンピック開催の年、当社は創業50周年を迎えます。中小企業集団の聖地蒲田に根ざし支えられて半世紀の歴史を刻むことが出来たのもお客さま、お取引先、地域の皆さま、社員、家族の支えがあってのことと感謝いたしております。
今、50年の歩みを振り返りながら、様々の研究や技術開発の積み重ねとともに次の新たな時代に向けて“日進月歩”を続けてまいります。AIやIoTの技術革新が進むなか皆様の期待に応えられる体制を整え、当社の強みを伸ばし更に幅広い技術開発を目指して次の一歩を踏み出します。地球温暖化が原因とされる自然災害が多発する時代、暮らしの安全安心に科学技術がどう寄与できるか、環境にどう配慮できるか等も念頭に、当社の“出来ること”に挑戦してまいります。
50年史の編纂を進めながら社員一同、次世代への未来社史づくりにも取り組んでいます。

子供たちの科学の心を応援!

わが社の飛騨工場がある岐阜県飛騨市は、世界最先端の宇宙物理学研究の拠点「スーパーカミオカンデ」と呼ばれる研究施設があります。この研究施設からはニュートリノの研究で小柴昌俊さんがノーベル物理学賞を受賞されています。日本海側の富山から始まる昔のブリ街道(国道41号線)に沿って岐阜までの道を「ノーベル街道」と称し、田中耕一さん(化学賞)、白川英樹さん(化学賞)、利根川進さん(医学生理学賞)の4人のノーベル賞受賞者を輩出しています。化学や物理学、医学、生理学の研究には地道で長い基礎研究の時間が必要とされておりますが研究時間の短縮のためこれからの10年で受賞者が激減すると危惧されています。飛騨市では何でも通り抜けて地球に降り注ぐニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」の研究を子供たちに遊んで学べ、身近に科学に興味を持ち最先端の研究に触れられる「ひだ宇宙科学館カミオカンデ」を開館しました。わが社も次代の科学者誕生を支援します。

大田区の“ものづくりお見合い”

“ものづくり集団お見合い”、受発注商談会が今年10月11日に、大田区産業プラザで開催されます。名称は「第58回、ものづくり受発注商談会in大田」で、企業の取引開拓や情報収集の商談会です。受注企業は高度なものづくり技術を持つ中小企業(180社)で、受注企業はメーカーや商社(70社)で、技術開発や研究開発のための“集団お見合い”です。面談機会のない企業と面談ができ、成約率が高く好評のフェアです。大田区、品川区の高度技術を誇る旋盤、NC旋盤加工、プレスや板金加工、研削・研磨加工・溶接や樹脂成型加工などの各種の加工、処理技術を始めAIを取り込んだ機械設計、ロボット設計・製作、医療機器や農業・水産加工機械の設計・製作と幅広い分野に対応する取り組みが特色です。日進月歩の科学技術の進化に対応したフェアです。
主催/公益財団法人大田産業振興協会ものづくりイノベーション推進課/問い合せ先:TEL03-3733-6126